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「あなたは一体…何者なのですか」 元は眉をしかめて溜息をつき、困りきった声音で吐き出した。 「運命を人質にとるなど、正気の沙汰とは思えない。あなたは一体何者で、何者になろうとしているのですか」 「俺に聞かれてもなあ。そういう何か哲学っぽい難しい事は、三蔵か伯欽に聞いてくれよ」 陳緯がムゥと唸り、頬をかく。 「大体、三蔵を人間扱いしないのはアナタ達の方じゃないか。只の人間にこんな試練与え続ける方が、よっぽど狂気の沙汰だよ」 「…何だ、どうなっているんだ?」 「2人共動かないっすね…」 八戒が額の上に手で庇を作って、闘技場舞台の上の3人を見る。 「こんな試合、ありなのか!?伝統ある武術大会決勝で、双方戦意なしなんて!」 「真面目にやって貰わないと困りますね…」 太子達も騒ぎ始めた。 悟空は舞台上の会話が全て聞こえていたので、黙っている。 「もー限界、俺審判に真面目にやれって言うよう言ってくるッ!」 総空がしびれをきらして立ち上がった瞬間、試合は動いた。 突然、玄策がパッタリと倒れたのだ。 「え?」 「は?」 会場内がざわつく中、元が高々と片手を挙げる。そして告げた。 「勝者・玄弉!」 その声は苦々しく、栄誉ある武術大会優勝者の名を呼ぶ声には少々相応しくなかった。 「…ちょっと待てぇッ!」 額に青筋を立てた総空が、手すりに足をかけて怒鳴った。 「こんな意味不明な試合、納得出来ーん!玄弉、お前がこの州で最強だなんて、俺は認めないぞ!」 「お、おい総空!気持ちは分かるけど落ち着け!」 「彼は優勝したんです、それは間違いないんですよ!」 統陸と全海のなだめる手を振り払い、総空は杖をとって舞台へ躍り出た。 「俺と闘え、玄弉!俺が勝ったら沙師匠達を解放しろ」 「解放?」 陳緯はパチクリと瞬いて、観客席の悟浄を見上げた。 「沙さん、アナタは無理強いされて旅してんの?」 「まさか!ずっと違うって言ってるのに、全然分かってくれないんすよー」 「って言ってるけど」 ブンブンと首を振る悟浄を示しても、総空は陳緯を睨むだけで観客席をを見もしない。 「お前が言わせてんだろ、分かってるんだよ!」 「分かってないよ…」 陳緯は審判である元に助けを求める目を向けたが、元は我関せずと言った風に目を伏せている。 陳緯はガクリと肩を落として、しょうがないなあとぼやいた。 「やればいいんでしょ、やれば…」 そして嫌々剣を構えた。 …本日はここまで。 続きは次回の講釈で。 |
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