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zoom RSS 鵺栖町あやかし譚366(終)

<<   作成日時 : 2012/03/31 21:21   >>

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『綺麗な国だなあ』
この国に来てみて、最初に思ったことはそれだった。

東欧から飛行機を乗り継いで空港に降り立ち、電車とバスを乗り継いで約5時間。
その道中でどんどん変わっていく景色に、何故か懐かしさを感じた。

「探したよ…。君を見つけるのに10年かかった」
そう言って少年を孤児院から引き取った男は今、少年の隣の座席で腕を組んで眠っている。
『類・イグアス』と名乗り職業はエクソシストだと真顔で言った彼は、少年と瞳の色が違うだけで顔立ちがよく似ていた。
父母のどちらにも全く似ていない金髪翠眼・褐色の肌の少年は、本当に肉親が現れたのかと思ったほどだ。

首から麻紐で提げられたコインをぎゅっと握る。
生まれた時から持っていたらしいこのコインは、この国のコインだと言う。

『鵺栖〜、鵺栖〜』
社内アナウンスがそう告げた途端、隣の男が飛び起きた。
網棚から大きなスーツケースと小ぶりのボストンバッグを下ろす。
「ここで降りるよ」
そう言われる前から、少年は降車駅がここであることを知っていたような感覚にとらわれた。

降り立ったホームで車掌と目が合うと、車掌は笑顔で目礼し、何か呟いた。
『お帰りなさい』と聴こえた気がして、首を傾げながら駅舎を出る。
途端に、視界全部を淡いピンク色に染められ、思わず目をすがめた。

桜の木の下に、3人の人影が見える。
黒髪に微苦笑の青年。
銀髪にしかめっ面の女性。
そして、少年を迎えに来た青年より更に、自分によく似た少年。
金髪翠眼のその少年が、手を差し出し言った。

「お帰り。今年も君の町の桜は、綺麗に咲いたよ」

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