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悟浄が金角・銀角兄弟の住まいである蓮華洞に着いたのは、丁度東の空が白み始めた頃だ。 「金角さん、銀角さん!まだいるっすか!?」 洞の中に呼びかけると、しばらくして銀角が目をこすりながら出てきた。 「あれ、沙悟浄…待ちきれなくて来たのか?」 「いえ、ちょっと事情があって昨晩玉華州を発ったんす。だから入れ違いになる前に、と思って」 「そうか。こっちはなんとか終わった。ついさっきまで作業してたもんだから、兄貴は寝ちまってるんだ…ふわぁ」 徹夜で修繕してくれたらしい。悟浄は何度も何度も礼を言った。 「いいって。礼ならお師匠さんに言ってやりなよ。ちょっと待ってろ、今持ってくるから。…あ、三蔵は見ないうちに随分でっかくなったよな」 「そうっすね。もうすぐ僕も身の丈追い越されそうっす」 「俺達みたいなのは、長生きな代わりになかなか成長しないから、あんた達も新鮮なんじゃないか?」 「はい。出来ればずーっと見てたいくらいっす」 奥に引っ込みながらも悟浄と会話していた銀角が、宝杖を手にして戻ってきた。 銀角も天界人だ、常人では動かす事すらできない宝杖を両手で運んでくる。 ただ、歯を食い縛りヨロヨロと足を踏み出す姿を見ると、大分重そうではあるが。 「じゃあこれな。…そうか、でもずっとって訳にもいかないもんな。ちょっと寂しくならないか?」 「寂しい?何がっすか?」 「だって玉華州に入ったんだし、もうすぐ大雷音寺にも着いちゃうだろ。そしたら5人皆バラバラじゃないか」 悟浄は目を丸くし、口を半開きにして固まってしまった。 旅が終わって、一行が解散する…そんな事、全く考えていなかった。 流沙河で旅人達から得た知識を使い、道案内めいた役割も担う悟浄だから、玉華州から大雷音寺までもう遠くはない事は知っていた。 だが、この旅が終わる事など考えていなかった。 心のどこかで、一行5人はいつまでも一緒に旅をしていけるものだと思っていたのかもしれない。 「おい…どうした、大丈夫か?これ、早く受け取ってもらいたいんだけど…」 悟浄がいつまでも宝杖を受け取らないので、銀角の腕がプルプルしてきた。 「あ、はい!…ありがとうございました!」 慌てて手を伸ばした悟浄は、目を丸くして銀角を見ていた。 目が合った銀角は、どうだ!と言わんばかりに笑う。 「大分使い易いだろ?他にも色々手直しした。古いけどいい杖だ…綺麗に使ってるな」 …本日はここまで。 続きは次回の講釈で。 |
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